営業戦略・マーケティング

特定電子メール法はBtoBでどこまで適用される?送れる相手と文面の直し方

スマートカイタク編集部

「相手が法人ならオプトインは要らない」。そう聞いて、集めたリストや名刺の束からメール営業を始めようとしていませんか。

ところが、同意なしで送れるかどうかを決めているのは相手の属性ではありません。アドレスをどこで手に入れたかです。

この記事では、手元のリストを入手経路で分ける判定表と、送る文面を直すための署名ブロックの型をまとめました。

特定電子メール法が対象にしているのは省令が定める2つの通信方式で、送れるかどうかは相手の属性では決まりません。

この記事の結論

  • 同意なしで送れるかは、送り先が法人かどうかでは決まりません。決まるのはアドレスの入手経路で、法第3条第1項が挙げる同意・書面での通知・取引関係・公表の4つのどれに乗るかを1件ずつ見ます
  • 名刺は書面による通知で第2号に乗り、取引関係の第3号ではありません。名刺に送信を断る旨が書かれていれば、第2号からも外れます
  • 公表アドレスの例外が外れるのは、アドレスと併記で拒否の文言がある場合だけです。スマートカイタクが2026年10月に開いた53ページでは、公的文書が例示する形の表示は0件で、書かれていたのは日常の言い回しでした
  • 例外に乗っても表示義務は外れません。送信者の正式名称・断れる旨・通知先・住所・苦情窓口の5項目を、置き場所どおりに1通目から入れてください
  • 同意の記録を残す義務は第1号だけで、断りの記録は号を問わず残します。どの号にも乗らない相手は、同意を取りに行くか、公表されているフォームに回します

BtoBのメール営業で、同意なしで送れるのはどの相手か

ここでは、手元のリストをアドレスの入手経路で分ける作業をします。

同意なしで送れるかどうかは、相手が法人かどうかでは決まりません。特定電子メール法が対象にしているのは、同法第2条が総務省令に委ねた2つの通信方式で、ふだんのメール配信はそのうちSMTPを使う方式に当たります。

同法第3条第1項は「送信者は、次に掲げる者以外の者に対し、特定電子メールの送信をしてはならない。」と、原則を禁止に置いています。そのうえで送れる相手を4つの号で挙げていますが、「法人」という語はどの号にも出てきません。

広告・宣伝のために送るメールは、同法第2条第2号の「特定電子メール」に当たります。定義が絞っているのは送り手の側で、「営利を目的とする団体及び営業を営む場合における個人に限る」と書かれています。

初めて送るメール、いわゆるコールドメールの判定はここから始まります。1件ずつ、アドレスをどこで手に入れたかを見ていきましょう。

名刺で受け取ったアドレスは第2号。取引関係の第3号ではない

名刺でもらったアドレスは、取引関係の号ではなく書面による通知の号で扱います。施行規則第2条第1項本文が、第2号の通知の方法を「書面により通知する方法とする」と定めているからです。

総務省と消費者庁の『特定電子メールの送信等に関するガイドライン』(平成23年8月)によれば、名刺を渡した側には「書面の通知を受けた者から電子メールの送信が行われることについての一定の予測可能性がある」と考えられるため、書面による通知が規則に置かれました。

この号に乗るには条件があります。同じガイドラインは「通知の対象である自己の電子メールアドレスと、通知の相手方となる送信者又は送信委託者は特定されている必要がある」としていて、「第三者からメールを送ることがあります」のような形は通知と解されません。

名刺に断りが書かれている場合は外れます。施行規則第2条は、アドレスの通知が送信を断る旨の通知に当たるときは第2号の通知に該当しないと定めています。

名刺の束は、受け取った経路ごとに分けておきましょう。自分が交換した名刺と、第三者から渡された名簿は、同じ第2号では扱えません。

「取引関係にある者」はどこまでを指すか

第3号を、問い合わせが1回あっただけの相手に当てはめる根拠は、条文とガイドラインからは出てきません。条文が挙げているのは「当該特定電子メールを手段とする広告又は宣伝に係る営業を営む者と取引関係にある者」で、その範囲は社会通念で決まります。

「社会通念上、明示の拒否がなければ広告・宣伝メールが送付されることを許容していると認められるような社会関係にある者」と書かれています。継続した取引のある相手は、この社会関係に当たると読めます。

自社のリストで第3号に振るのは、請求書か契約書のやり取りが残っている相手までにしましょう。資料請求だけの相手は、同意の通知を受けているかどうかで第1号の側を見ます。

サイトで公表されているアドレスは第4号

BtoBのメール営業で数の中心になるのは第4号です。第3条第1項第4号が挙げているのは「総務省令・内閣府令で定めるところにより自己の電子メールアドレスを公表している団体又は個人」で、個人は営業を営む者に限られます。

公表の意味を決めているのは施行規則第3条です。インターネットを利用して公衆が閲覧できる状態に置く方法なので、サイトに載っているアドレスはここに当たります。

ガイドラインには、公開しているアドレスあてにビジネス向けサービス・製品の広告・宣伝メールを送ることは「実態的に行われており」「ビジネス慣習上も一定の範囲で認められているものと考えられる」と書かれています。

認められているのは「一定の範囲」までです。日本データ通信協会 迷惑メール相談センターも、HPで公表している団体のアドレスは原則としてオプトイン規制の例外になると説明しています。

ただし、第4号が条件にしている「アドレスの公表」の状態にある相手は、リストの一部にとどまります。スマートカイタクが窓口を調べ終えた約91万社を1社1行で数えた集計(2026年10月10日取得)では、実在するメールアドレスを公表していたのは25.7%、およそ4社に1社でした。

100社のリストなら、対象になるのは26社前後です。判定は文字列の規則だけで行い、1社につき先頭の1アドレスを見ているので、実在側を少し取りこぼす下限寄りの値として受け取ってください。

この母数は日本の全企業ではなく、スマートカイタクが窓口を調べ終えた企業です。調査の進み具合と、アドレスの実在を確認するかどうかで値は動きます。

狙う業種でも数が変わります。スマートカイタクが業種を判定できた約59万社の集計(2026年10月10日取得)では、公表アドレスがある割合は19.1%から36.0%まで開き、幅は16.9ポイントありました。

18業種のうち9業種を、公表アドレスがある割合の高い順に抜き出します。母数は業種ごとに大きく違うので、自分が狙う業種の行だけを見てください。

業種(スマートカイタク区分・2026年10月10日取得) 公表アドレスあり フォームもアドレスも無い
メディア・エンターテインメント36.0%18.9%
IT・ソフトウェア34.5%20.4%
広告・マーケティング33.6%16.1%
製造業30.5%17.2%
建設・土木25.3%16.1%
飲食・食品21.6%36.8%
物流・運輸20.9%23.4%
公共・行政19.4%47.4%
医療・ヘルスケア19.1%38.3%

同じ100社のリストでも、業種によって同意なしで送れる相手の数は倍近く違います。医療・ヘルスケアを狙うなら、第4号に乗るのは5社に1社を下回ります。

中分類まで割ると、幅は17.2%〜49.3%まで開きます。両端は小売・EC/ECモール・通販の49.3%と、医療・ヘルスケア/病院・クリニックの17.2%でした(いずれも3,000社以上ある区分)。

業種の区分はスマートカイタクが付与したもので、公的な産業分類ではありません。全体の25.7%とは別の集団を数えた値なので、足し引きはしないでください。

SMSと、電話番号を使ってアプリで送るメッセージも同じ枠に入る

電話番号あてのメッセージも、同じ4つの号で判定します。省令が挙げた通信方式の2つめが、携帯端末に電話番号を使って情報を伝える方式だからです。

総務省の迷惑メール対策のページは、携帯端末同士で電話番号を使ってメッセージを送受信するサービスも、省令が定める通信方式の1つだとしています。例として挙げられているのはSMSと、「電話番号を用いてアプリケーションによりメッセージを送受信するサービス」です。

メールと別の台帳で管理している場合は、ここで同じ判定に戻してください。SMSの配信先リストにも、入手経路の列が要ります。

「この相手に同意なしで送れるか」の判定表

判定は、入手経路の列を1つ足すだけで済みます。手元のリストの各行を、次の表の左端に当ててください。

アドレスの入手経路 乗る号(法第3条第1項) 条件 外れる場合
相手が送信の同意を通知してきた第1号同意の通知を受けている同意の通知を受けていない
名刺など書面でアドレスを受け取った第2号アドレスと送信者が特定されている名刺に送信を断る旨がある
継続した取引がある第3号社会通念上、取引関係と認められる明示の拒否がある
サイトにアドレスが公表されている第4号誰でも閲覧できる状態に置かれているアドレスと併せて拒否の文言がある
上のどれでもない(推測や社名からの類推で作ったアドレス)乗らない——

最終行に落ちた相手には、この表だけでは送れません。

特定電子メール法の例外から外れる相手を、送信前にリストから抜く

ここでは、公表アドレスのリストから送信前に抜く相手を決めます。

公開されているアドレスでも、全部に送れるわけではありません。同法が対象としているのは省令が定める2つの通信方式で、この章で抜くのはその2方式で送る相手です。

抜く理由は2層に分かれます。1つは法令で例外が外れる相手、もう1つは法令では外れないものの送られることを嫌がっている相手です。

アドレスに添えられた一文で、公表アドレスの例外から外れる

法令上、例外が外れるのはアドレスと併記で拒否の文言がある場合です。施行規則第3条のただし書きが、アドレスと併せて送信しないよう求める文言を公衆が閲覧できる状態に置いたときは公表に当たらないと定めているからです。

その形の表示が現実にどれだけあるかを数えました。スマートカイタクが2026年10月10日に本文を取得できたのは、フォームが無くアドレスを公表している企業32社のトップページです。

もう1つの母数は、従業員301名以上でアドレスを公表している企業の問い合わせページ21件でした。

公的文書が例示する形の表示は、53ページを開いて0件でした。

営業・勧誘目的の連絡を断る記載そのものは、問い合わせページ21件のうち3件にありました。母数が小さいので、割合に直さず、数え方ごと受け取ってください。

併記が無ければ法令上の例外は外れませんが、それは断りを無視してよいという意味ではありません。

相手が嫌がるかどうかは別の層の話です。窓口の側から送ってよい相手を選ぶ基準は、送信前に見る3箇所の側に置いてあります。

リストから抜くときに検索する文字列

検索語は、公的文書が例示する言い回しと、現に書かれている日常の言い回しの両方を用意します。例示の形だけで探しても、実測では1件も引っかかりませんでした。

受信側に示されている例示の一文は「このメールアドレスへの特定電子メールの送信を拒否いたします」で、日本データ通信協会 迷惑メール相談センターが挙げている文言です。ガイドラインの側はもう少し広く、「特定電子メール」「広告メール」「宣伝メール」「迷惑メール」等の文字と、「拒否」「お断り」「送信しない」等の文字の組み合わせが例に挙がっています。

実測で見つかった3件は、次の言い回しでした。

  • 「*営業を目的とした電話・メールでのお問い合わせは、固くお断りさせていただきます。」
  • 「なお、有料広告や人材紹介・派遣会社その他あらゆる営業に関する問合せについては、固くお断りさせて頂きます。」
  • 「当フォームへの広告・宣伝等はご遠慮下さい。」

この3本と例示の語から、検索語の組を作ります。「営業」「お断り」「拒否」「ご遠慮」「勧誘」「特定電子メール」「広告メール」「宣伝メール」で引っかけ、該当した行は人が開いて確認してください。

1行に複数のアドレスが載っている場合もあります。スマートカイタクがアドレスを取れた約29万社の集計(記入例を除く前の母数、2026年10月10日取得)では、11.6%、およそ9社に1社が複数を載せていました。

先頭のアドレスだけを見て判断しないでください。

断り書きが見つかったのは、問い合わせページの側だった

断りの記載が見つかったのは、問い合わせページの側だけでした。スマートカイタクが2026年10月10日に本文を取得できた53ページでは、トップページ32社で0社、従業員301名以上の企業の問い合わせページで21件中3件でした。

2つの母数は、企業の規模も開いたページの種類も違います。差が規模から来ていると、この数え方では言えません。

見つかった3件のうち2件はフォームへの連絡を断る文で、メールを明示していたのは1件です。フォームの断りがメールにも及ぶかを判断した公表資料には当たれませんでした。

ガイドラインは、拒否の表示を「電子メールアドレスの直前又は直後など公表する電子メールアドレスと併せて表示することが適当である」としています。アドレスから離れた場所の断りは、法令上の例外外しの形として想定されていません。

トップページではなく問い合わせページを開いてください。

求人票の応募受付アドレスのように、用途が限られたアドレス

用途が限られたアドレスは、送信先から外しておくほうが安全です。ガイドラインはアドレスの公表を「基本的に、電子メールを受け取るために行われるものである」という前提に置いていますが、受け取る用途が応募に限られたアドレスをどう扱うかを判断した公表資料には当たれませんでした。

数としては少ないです。スマートカイタクが公表アドレスを集めた約23万社の集計(2026年10月10日取得)では、採用系と読めるアドレスは0.4%でした。

文字列で判定した下限値なので、実際はこれより多いと見ておいてください。外す手間は小さいので、recruit や saiyo を含む行は先に除いておきましょう。

氏名が入ったアドレスは、個人情報保護法の側で扱いが変わる

氏名が入ったアドレスは、それ自体が個人情報として扱われます。個人情報保護委員会のFAQは、ユーザー名とドメイン名から特定の個人を識別できる場合、そのメールアドレスは単独で個人情報に該当すると書いています。

第4号に乗るかどうかの判定が変わるかは、別の問題です。氏名入りのアドレスが例外に入るかを判断した公表資料には当たれませんでした。

スマートカイタクが公表アドレスを集めた約23万社の集計(2026年10月10日取得)では、45.8%がinfoで始まり、部署や用途を表す語と判定できたものは合計58.2%でした。

残りには社名の略号や氏名が混ざります。氏名入りの割合はこの集計では取れていないので、個人名が入った行は1件ずつ見て、社内で扱いを決めてください。

そのまま送れるBtoBの営業メールの型:表示義務の5項目をどこに置くか

ここでは、自分の署名ブロックを書き直します。

例外に乗って送る場合も、表示義務は外れません。特定電子メール法の射程は省令が定める2つの通信方式で、第4条はその2方式で送る特定電子メールの全部にかかります。

条文は「特定電子メールの送信に当たっては」と書いているだけで、どの号で送るかを区別していません。同意を取らずに送れた相手にも、1通目から5項目が必要です。

表示する5項目はどこから来るか

5項目は、法第4条が挙げる2つと施行規則第9条の3つを足したものです。法第4条が挙げているのは送信者の氏名または名称と、断りの通知を受けるためのアドレスで、残りは「その他総務省令・内閣府令で定める事項」として省令に委ねられています。

省令の側の3つは、ガイドラインが整理しています。オプトアウトの通知ができる旨の記載、送信責任者の住所、苦情や問合せ等を受け付けるための電話番号・メールアドレスまたはURLの3つです。

表示する5項目の置き場所(法第4条・施行規則第9条)

同じ5項目でも、置き場所の条件は項目ごとに違います。自分の署名を次の表に当てて、足りない行を補ってください。

表示する項目 根拠 置き場所
送信者の氏名または名称法第4条受信者が容易に認識できる任意の場所
断りの通知を受けるためのアドレス法第4条受信者が容易に認識できる任意の場所
断りの通知ができる旨施行規則第9条通知先の直前または直後
送信責任者の住所施行規則第9条任意の場所
苦情・問合せの受付先施行規則第9条任意の場所

ガイドラインは、本文の最初か最後に記載することを推奨しています。置き場所の条件は、署名ブロックにまとめて入れておけば同時に満たせる形です。

そのままコピーして使える署名ブロックの型

5項目を置き場所どおりに並べると、次の形になります。社名と住所、2つのアドレスを自社のものに置き換えれば、そのまま使えます。

──────────────────────────────
本メールは、貴社ウェブサイトに公開されているお問い合わせ先に送信しております。

今後の送信をご希望されない場合は、下記のアドレスへ空メールをお送りください。
以降の送信を停止いたします。
  配信停止の受付:optout@example.co.jp

株式会社○○○○
送信責任者:営業部 ○○ ○○
〒000-0000 東京都○○区○○1-2-3
お問い合わせ・苦情の受付:info@example.co.jp/03-0000-0000
──────────────────────────────

宛先の会社名や担当部署を本文の冒頭に入れる場合も、この署名ブロックはそのまま末尾に付けてください。

2つのアドレスは、別々でよいものです。苦情・問合せの受付先とオプトアウトの通知先は同一である必要はないと、総務省の研究会が事業者の質問に答えています。

また「送信責任者」として担当者名を入れるかは任意です。法令が求めているのは送信者の氏名または名称で、行政が示している表示例も法人の名称だけです。

挨拶から本文の組み立てまでの書き方は、郵送のDMを含めた初めて送る文書の型の側に置いてあります。

送信者名にサービス名や「○○運営事務局」は使えない

署名の名義は、正式な社名にします。ガイドラインは、ウェブサイト名やサービス名、屋号、ブランド名称の表示では送信者名を表示したことにならないとしていて、「○○運営事務局」はその例として挙げられています。

屋号やブランド名だけで送っている場合は、ここを直してください。署名の先頭に置くのは、登記している社名です。

住所と受付先をリンク先に逃がせる範囲

住所や受付先をリンク先のページに置くときは、リンクをたどってすぐ表示に届く形にします。ガイドラインが、何度もクリックしないと必要な表示にたどりつかないときは表示として不適当だとしているからです。

メールを短くしたいときの目安になります。リンクを置くなら、飛んだ先のページに住所と受付先を直接書いておきましょう。

配信停止の案内は1通目から入れる

配信停止の案内は、初めて送る1通目から入れます。施行規則第9条の表示事項が外れるのは第6条の各号の場合だけで、初めて送る営業メールはそこに当たりません。

外れるのは、契約の申込みや内容、履行に関する事項を知らせるメールに広告が付随する場合などです。新規の案内は、この形ではありません。

特定電子メール法で、例外に乗っても外れない義務と外れる義務

ここでは、相手ごとに記録を残すかどうかを決めます。

同意の記録を残す義務は第1号だけで、表示義務と断りの扱いは号を問いません。同法の射程は省令が定める2つの通信方式で、その中で義務の分かれ目になるのは号の側です。

表示義務は、どの号で送るかを区別していない

第4条は、どの号で送る場合も同じようにかかります。

公表されている措置命令の報道資料も、ここを見ています。当たれた3件すべてで、送信者の名称や受信拒否ができる旨の不表示が法第4条違反として併せて認定されていました。

同意の記録を残す義務は第1号だけ

記録の保存義務は、第1号で送る相手にだけかかります。法第3条第2項が「前項第一号の通知を受けた者は」と書いていて、名刺・取引関係・公表アドレスで送る場合は対象になっていません。

保存期間は、命令を受けていない通常の場合は1ヶ月です。施行規則は最後に送信した日から起算して一月を経過する日までと定めており、総務省と消費者庁のパンフレット(2018年7月)も最後に送信した日から1ヶ月としています。

断りの記録は号を問わず残す

断りの通知を受けた記録は、どの号で送っていた相手でも残します。同じパンフレットが、後日に通知の有無で争いになることを避けるため記録を保存するよう求めているからです。

第1号から第4号まで、残すものと残さなくてよいもの

号ごとに整理すると、残すものは次のように分かれます。自社のリストの列と突き合わせてください。

送った根拠(法第3条第1項) 同意の記録 断りの記録 表示義務
第1号(同意の通知を受けた)最後に送った日から1ヶ月は保存残すかかる
第2号(名刺などの書面)保存義務は条文に書かれていない残すかかる
第3号(取引関係)保存義務は条文に書かれていない残すかかる
第4号(公表アドレス)保存義務は条文に書かれていない残すかかる

誰からいつ受け取った名刺かを残しておけば、第2号で送った根拠を自分で示せます。

BtoBの送信先から断りが来た日に何をするか

ここで決めるのは、断りを受けた日の手順と、リストに足す列です。

断りは、配信停止リンクを踏まれなくても成立します。同法が対象にしているのは省令が定める2つの通信方式で、断りの通知もその2方式で送っていた相手から届きます。

断りの通知は任意の方法で成立する

返信・電話・フォームのどれで来ても、その時点から送信は止まります。施行規則第5条が、断る相手のアドレスを明らかにして「電子メールの送信その他の任意の方法によって行う方法」と定めているからです。

法第3条第3項は、通知を受けたときは「その通知に示された意思に反して、特定電子メールの送信をしてはならない」と禁止しています。第1項の各号に挙がった相手すべてが対象なので、公表アドレスで送っていた相手でも同じです。

ガイドラインは、簡便に断れる方法を用意することも推奨しています。

断られたあとに送れる場合は限られている

断りのあとに送れるのは、省令が挙げた限られた場合だけです。法第3条第3項のただし書きが、広告・宣伝以外を主たる目的とするメールに広告が付随する場合などを省令に委ねています。

省令が挙げているのは、契約の申込みをした人や契約した相手に、申込み・内容・履行に関する事項を知らせるメールに広告が付随する場合などです。新規の営業の案内は、ここには入りません。

当日中にやること、リストに足す3列

受け取った日のうちに、リストの側へ反映します。配信の予約が残っていると、同じ相手へ翌日の便が出ます。

当日の手順は3つです。断りのメールか通話メモを保存し、リストの該当行に受領を記録し、配信待ちのリストから該当行を外してください。

足す列も3つあります。断りの受領日、受領方法(返信・電話・フォーム・配信停止リンク)、相手のページに拒否の表示があったかどうかです。

断りに「この商材の案内だけ」「3ヶ月だけ」という条件が付くこともあります。範囲と期間の列をどう持つかは、10列の台帳の側に置いてあります。

リストの列の決め方は、12列の決め方の側に置いてあります。断りがクレームの形で来たときの返信は、来た日の手順と返信文面の側です。

どの号にも乗らないBtoBの相手に、どう接触するか

ここでは、どの号にも乗らない相手の扱いを3つに割り振ります。

乗らない相手は、リストの大きい側に残ります。特定電子メール法の射程は省令が定める2つの通信方式なので、メールで送れない相手は窓口の側を見ることになります。

スマートカイタクが窓口を調べ終えた約91万社の集計(2026年10月10日取得)では、フォームも公表アドレスもある企業が16.5%、フォームはあるが公表アドレスが無い企業が45.7%でした。

フォームもメールアドレスも公開していない企業は28.6%です。電話番号だけを載せている企業も含まれるので、窓口が無いという意味ではありません。

フォームが無い会社の4社に3社は、メールアドレスも公開していません。数が大きいのは、窓口は公表しているがメールアドレスは出していない45.7%の側です。

同意を取りに行って第1号か第2号に乗せる

1つめの道は、相手から同意の通知を受けることです。第1号の同意は取り方が決まっていません。

総務省と消費者庁が『特定電子メールの送信等に関するガイドライン改正案』への意見に示した考え方(平成23年8月)は「同意の取得方法については、様々なものが考えられるため、方法を限定していません」としています。

成立の条件は2つです。ガイドラインは、受信者が広告・宣伝メールの送信が行われることを認識したうえで、それについて賛成の意思を表示した場合に同意が得られたと考えられるとしています。

ウェブのフォームにチェック欄を置く形も使えます。ガイドラインは、あらかじめチェックを入れておく形よりも、入れておかない形のほうが受信者の意思が明確になるとして、実施できる場合はそちらを推奨しています。

もう1つの道は、書面でアドレスの通知を受けることです。施行規則第2条第1項本文が通知の方法を書面としているので、相手の社名とアドレスが載った名刺や申込書を受け取る必要があります。

この道は、件数が増えるほど重くなります。1件につき相手と会うか書面を返してもらう工程が入り、アドレスと送信者の双方が特定されている形にしなければなりません。

展示会やセミナーで名刺が集まる見込みがあるなら、ここに乗せる相手を先に決めておきましょう。

ガイドラインは、同意の取得・確認のためのメールを送れるのも、事前の同意があるか、アドレスの通知やアドレスの公表といった例外に当たる場合に限られるとしています。

どの号にも乗らない相手に確認メールを送ることはできません。

第1号で送るなら、記録が要ります。施行規則は、アドレスごとに通知を受けた時期と方法、その際の状況を示す記録を残すよう定めています。

窓口が公表しているフォームという別の経路

2つめの道は、相手が公表している問い合わせフォームを使うことです。フォームからの送信を同法の対象に含めた公表資料も、対象外だと明言した公表資料も見つけられませんでした。

判定の筋道は、メールとは別になります。フォームから送る場合の判定は、6つの層を上から当てる手順の側に置いてあります。

3つめの道は見送りです。電話番号だけの相手や、ページに断りの記載がある相手は、今回の配信から外しておきましょう。

自分でやる場合に毎月残る作業

自分でやるなら、窓口を開き直す作業が毎月残ります。問い合わせページの場所が、会社ごとに揃っていないからです。

スマートカイタクがフォームのURLを取得できた約55万社の集計(2026年10月7日取得)では、問い合わせページが3ページ以内で見つかったのが63.4%、20ページを超えたのが22.4%でした。機械の巡回で開いたページ数なので、人が同じ枚数を見るという意味ではありません。

送信そのものの手数もあります。送信を完了した約18万社の集計(2026年10月7日取得)では、1社のフォームに入力した欄は平均7.47欄で、10欄以上あったのは24.0%、およそ4社に1社でした。

値を入れた欄だけを数えているため、同意のチェックや選択式の分類は入っていません。人が触る欄数の下限に近い数字として見てください。

代行に渡す場合に伝えるのは6つの条件

任せると決めたなら、伝えるのは送信先の条件と、送らない相手の一覧です。スマートカイタクは問い合わせフォーム営業の代行で、リストの作成から配信、レポートの提出までを行います。

指定する条件は6つです。対象顧客・業種・従業員数・設立年・地域・データソース元で、送信を避けたい企業は社名またはURLで事前に登録できます。

断りの扱いも仕組みの側で持ちます。「営業お断り」の記載があるフォームは検知して送信対象から外し、一度送信した企業には1ヶ月間は再送信しません。

月額プランでは、受け取った側が自分で配信を止められるリンクを付け、停止した企業を以降のリストからも外します。自分で回す場合は、この3つを自社の運用ルールとして書き出しておきましょう。

条件が決まっているなら、スマートカイタクに問い合わせたうえで契約と入金まで進めば、入金確認後、最短2営業日で配信が始まります。配信の設定は担当者が行い、完全自動のツールではありません。

よくある質問

メールアドレスのリストを買って送るのは違法になりますか

名簿を買って持っていること自体を違法と定めた条文には、この記事で参照した範囲では当たれませんでした。ただし、買った名簿に載っていたという事実だけでは、法第3条第1項の4つの号のどれにも乗りません。

第3条第1項が挙げているのは同意・書面での通知・取引関係・公表の4つで、名簿の売り手から渡されたという経路は出てきません。乗るかどうかを決めるのは、そのアドレスが誰でも閲覧できる状態に置かれているかどうかです。

買った名簿の行も、相手のページを開けば判定できます。リストの入手先ごとの考え方は、自作・購入・代行の決め方の側に置いてあります。

配信停止の案内は1通目から必要ですか

必要です。初めて送る営業メールにも、断れる旨と通知先を入れてください。

表示義務が外れるのは施行規則第6条の各号に当たる場合だけで、契約の申込みや履行に関する事項を知らせるメールに広告が付随する場合などが挙がっています。新規の案内はこの形に当たらないので、1通目から表示が要ります。

名刺交換した相手に広告・宣伝メールを送ってよいですか

書面として名刺を受け取っているなら、第2号で送れる相手です。ただし、名刺に送信を断る旨が書かれている場合は外れます。

施行規則第2条第1項本文が通知の方法を書面としているので、口頭で聞いたアドレスやウェブで拾ったアドレスは、この号では扱えません。誰が送るかが特定されていない形で集めた名刺も、第2号の通知とは解されません。

特定電子メール法と特定商取引法はどう違いますか

特定電子メール法は送り方を定め、特定商取引法は通信販売の電子メール広告に相手方の承諾を求めています。BtoBでは、まず特定電子メール法が対象にしている2つの通信方式で判定し、宛先に個人や個人事業主が混ざる場合に特定商取引法の側を見ます。

同法が対象にしているのは省令が定める2つの通信方式で、決めているのは同意と表示の要件です。

外れるのは、相手の属性ではなく契約の目的と内容です。消費者庁の『特定商取引に関する法律・解説』は「契約の相手方の属性が事業者や法人である場合を一律に適用除外とするものではない」と書いています。

基準は、相手がそれを事業や職務のために受けるかどうかです。同じ解説は「通常、事業・職務の用に供するために購入し、又は役務の提供を受ける場合は本号に該当する」と書いています。

個人事業主あてでも、売るものが相手の事業用なら外れます。主として個人用・家庭用に使うものを売る場合は、相手が事業者名で契約していても特定商取引法の側がかかるので、商材の用途で行を分けてください。

1つのアドレスを部署で共有している場合、誰の同意が必要ですか

特段の事情がない限り、使っている複数人のうち1人が同意を通知すれば送れます。部署の全員から同意を取り直す必要はありません。

ガイドラインが「特段の事情がない限り、複数の使用者のうち一人が同意の通知をすれば、特定電子メールの送信が可能である」としているためです。第1号で送るなら、誰からいつ通知を受けたかの記録を残してください。

まとめ:自分のリストと文面を今日直す順番

当日に終わる作業は3つです。順番どおりに進めてください。

  1. リストに「アドレスの入手経路」の列と、相手のサイトのURLの列を足し、同意・書面・取引関係・公表・乗らないの5つに分ける。買った名簿の行は、相手のページでアドレスが公表されているかを見て振り分ける
  2. 公表に振った行は相手のページを開き、「営業」「お断り」「拒否」「ご遠慮」「勧誘」「特定電子メール」「広告メール」「宣伝メール」が無いかを確かめて、該当した行を配信待ちから外す
  3. 署名ブロックを、送信者の正式名称・断れる旨・通知先・住所・苦情窓口の5項目が置き場所どおりに並んだ形に差し替える

3つが終われば、配信待ちのリストから乗らない相手が外れます。ここから先は、同じ作業を毎月続けるかどうかの分かれ目です。

自分で続けるなら、入手経路の列を基準に、送信前に該当行を抜く時間を予定に入れましょう。

法令の当てはめで判断に迷う行が残ったときは、そろえた材料を持って弁護士に確認してください。送れる相手と文面が決まっていれば、確認したい点は数行に絞り込めます。

任せる場合も、こちらで決めるのは送信先の条件6つと、送信を避けたい企業の社名またはURLの一覧です。これを決めて、問い合わせフォーム営業の代行に伝えてください。